おにぎり(おむすび)

 おにぎりvsサンドイッチ。「小腹が空いたとき、どっちを食べる?」。ある大学で、学生に聞いてみたところ、80.4%が「おにぎり」と答え、意外な大差が付いてしまったそうな。ついでに、「おにぎりvsお茶漬け」についても、聞いてもらいたかったところですが、お茶漬けを食べるには、入れ物を用意したり、お茶を沸かさなければいけないことを考えれば、おにぎり支持派が、ここでも多数を占めるのは予想に難くないでしょう。
 価格が手ごろなことと、食べやすいことなどが、「おにぎり」が支持される理由ですが、理由の中味を子細に分析していくと、そこには、コンビニが身近にある、という大前提があるような気がします。自分で、ご飯を握って、おにぎりを作るということは、まったく、想定されていない。
 こういう人は、小腹が空いたのが、もし深夜だったら、おにぎりという選択をするのかどうか。なぜなら、おにぎり1個を買うために、わざわざ外着に着替えて、自転車漕いでっていうのは、考えづらいからです。おそらく、おにぎりに替わる、何か、家の中にある他のもので小腹を満たそうとするんじゃないでしょうか。
 でも、もし、おにぎりが、じつは、冷蔵庫にあるもので、自分でも簡単に作れるものなんだってことが分かったら、どうでしょう? おそらく、そのお手軽さと、コンビニおにぎりでは味わえない、作り立ての美味しさから、多くの人が、「深夜も、やっぱり、おにぎり派」ってことになるんじゃないでしょうか。
 ということでね、「自分には、おにぎりなんて、作れっこない」と思っている人のために、まずは、おにぎり作りの基本をおさらいしておきましょう。「産まれてこの方、おにぎりなんて握ったことがない」という人でも、子供のころ、お母さんが、運動会とか遠足の朝なんかに、おにぎりを握っていた姿ぐらいは覚えていることでしょう。手に、ちょっと塩を付けてから、炊きたてのごはんをヘラでヒョイと掬い上げて手に取って、回しながら握っていく。あれで、いいんです。
 ポイントは、3つあります。まずは、塩を付けすぎないこと。そのためには、いきなり、手に塩を付けるのではなくて、あらかじめ、10%くらいの塩水を作っておいて、それを手に付けるといいと思います(いきなり、手に塩を付けると、塩っぱさにムラができてしまいます、念のため!)。その際、塩水は付けすぎないこと。付けすぎると、おにぎりが、水っぽくなるので。余分な水気は、振るって落としましょう。
 2点目は、ご飯を握る際、手のひらではなくて、手の甲で握ること。そして、3点目は、三角、俵型、真ん丸などの、あの”造形”です。大切なことは、ご飯を握って形を作っていく際に、いきなり、その形を作ろうとしないこと。手の上で、まずは、ご飯(小腹を満たす程度なら、80グラムくらいが適当)をまとめ、もう一方の手のひらで軽く丸め、引っくり返す。そして、また、丸めて、引っくり返す。これを繰り返して、思っている形にしていくわけです。要は、遠心力を利用して、クルクル回していくということ。こうすると、おにぎりに空気が入り、ふんわりと仕上がるのです。目安は、おにぎりを口に入れたときに、ご飯がほぐれる感じ。この感覚は、コンビニのおにぎりでは、けっして味わえないものです!
 いろいろ細かいことを書きましたが、最後に、おにぎりのことをもう少し知りたいという人のために、耳より情報。「おにぎり協会」っていうのがあるの、知ってますか? 簡単に紹介すると、文化的背景も含めて、日本のおにぎりを国内外に普及させていくことを目的に設立された団体(2013年設立)なのですが、ここが、「おにぎりJapan」というサイトを持っていて(URLは下記)、おにぎりの「食べ方」から「作り方」まで、細かく解説しています。定期的に、おにぎりのワークショップなども開催しているので、時間があるときに覗いてみるといいと思います。

「もっと、おにぎりを究めたい!」というのなら、料理研究家の荻野恭子先生が書いた『毎日使える おむすび便利帖』(家の光協会発行)という本がお薦めです。
この本の何が素晴らしいかというと、おにぎりの基本である「塩むすび」(塩にぎり?)をベースに据え、それに、様々な食材をちょっとプラスしていくことで、おにぎりのバリエーションを一気に広げていけることが、おにぎり初心者でも体感できるような仕立て(編集)になっていることです。これ読んだら、だれでも、「ひょっとしたら、おにぎり屋さんできるかも…」って思うはずです。
 えっ、たかが、「塩むすび」一個作るのに本を買いたくない? 世話が焼けますねえ。そんな人には、「キッコーマン」か「ダイエー」の下記ページにアクセスしてみて下さい。「塩むすび」の作り方が懇切丁寧に書かれていますよ。
●「キッコーマン」
●「ダイエー」

「おにぎりの基本から、じっくりと勉強してみたい」という人には、料理研究家の野崎洋光先生の『料理のきほんは おにぎり から』(生活情報センター発行)がお薦めです。























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